ピアノが喋る

夫は仕事、賢人はバイト。
はなとふたりだけの夜です。
音の洪水、音の嵐。
その中でいろんなことを考えました。
何を聴くべきか。
何を聴かないでいるべきか。
何を信じるべきか。
何を信じないでいるべきか。
どれほどの力で鍵盤を叩くべきか。
叩かないべきか。
音のない時間を作ること。
埋め尽くすこと。
ほんの一呼吸の空白。
ほんの一瞬の重なり。
白と黒の鍵盤がもっともっと研究しなさいって私に言っています。
歌うはずのピアノが私に喋る。
夫も賢人もいない、はなとふたりの夜です。

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