●そう考えると、どれだけ長生きするかということは、本質的にはまったうどうでもいいことだということがはっきりするでしょう。
あるひとりの人の自伝を判断する基準はその自伝を叙述した書物のページ数ではなく、もっぱらその書物が秘めている内容の豊かさなのです。
●ひとりひとりの人間は、たしかに不完全ですが、それぞれに違った仕方で、「自分なりに」不完全なのだということを忘れてはなりません。
その人のやり方で不完全なのはその人だけです。
こうして、積極的に表現すると、ひとりひとりの人間が、なんらかの仕方でかけがえなく、代理不可能で、代わりのいない存在になるのです。
●人生が1回きりでひとりひとりの人間が唯一であること、しかもあるものにとって唯一であること、つまり他者にとって、共同体にとって唯一であることを一つの公式にまとめてみましょう。
それは、人間の「おそろしくすばらしい「責任、人生の「重大さ」に私たちの注意を促すような公式です。
●生きるとは、問われていること、答えること―自分自身の人生に責任をもつことである。